「フリーランスが“損しないために”知っておきたい契約・リスク管理の基本」
Post Date: 2025-08-17

案件は“契約”から始まる
フリーランスは自由度の高い働き方である一方、
・契約書を交わさずに案件を始めてしまう
・途中で条件が変わる
・納品後のトラブルで報酬が未払いになる
といったリスクを抱えやすいのも事実です。
2024年のIPA調査では、フリーランスの約35%が「報酬未払い・条件変更などのトラブル経験あり」と回答しています。(※IPA「フリーランス白書2024」より)
出典:https://blog.freelance-jp.org/20240326-21088/
つまり、スキルがあっても“契約とリスク管理”を知らないと簡単に損をするのがフリーランスのリアルです。
では、どんなことを最低限押さえておくべきか?
今回は、案件を安全に進めるための契約・リスク管理の基本を解説します。
- 1. 口頭合意だけで始めるのは絶対NG
- 2. 「請負契約」と「準委任契約」の違いを理解する
- 3. 「報酬未払い」を防ぐには?
- 4. 情報漏洩リスクとNDA(秘密保持契約)
- 5. リスク回避しつつ信頼を高める動き方
- 6. もしトラブルが起きたら?
- まとめ:契約知識は“単価以上の価値”を守る
1. 口頭合意だけで始めるのは絶対NG
~契約書なしの案件はトラブルの温床~
口頭では「週2日稼働」と言われていたのに、実際はフル稼働を求められた
追加作業がどんどん増えて、当初の報酬額では割に合わなくなった
納品後に「やっぱり不要になったから報酬は払えない」と言われた
こういったトラブルは、契約書で条件を明文化していないことが原因です。
【最低限入れるべき項目】
業務内容・範囲
報酬額・支払い条件
契約期間・終了条件
成果物の権利(著作権の帰属)
秘密保持・競業避止など
2. 「請負契約」と「準委任契約」の違いを理解する
契約形態で責任の範囲が変わる
・請負契約
→ 成果物の完成が目的(納品物に責任を負う)
・準委任契約
→ 業務遂行が目的(成果は保証しないが、善管注意義務あり)
コンサル・エンジニア案件は、準委任契約が多いですが、成果物がある場合は請負契約になることもあります。
この違いを理解せずにサインすると、想定外の責任を負うリスクがあります。
3. 「報酬未払い」を防ぐには?
事前確認と支払いサイトが重要!
①支払いサイト(例:検収後30日)を必ず確認する
②初回は少額・短期案件から取引する
③仲介プラットフォーム経由なら、報酬保証の仕組みがあるか確認する
★報酬未払いを避ける裏技
・契約時に「前金50%」「週次払い」など、リスク分散型の条件を交渉する
・エージェント・プラットフォームを挟むことで直接の未払いリスクを減らす
4. 情報漏洩リスクとNDA(秘密保持契約)
AIツール活用時は特に注意
2025年は生成AIの利用が一般化していますが、
NDAで「機密情報を外部サービスに入力禁止」と定める企業が増加
ChatGPTなどへの入力が情報漏洩扱いになるケースも
そのため、NDAを結んだ案件で生成AIを活用する場合は、必ずクライアントに確認が必要です。
5. リスク回避しつつ信頼を高める動き方
契約やリスク管理は大事ですが、相手との関係構築も同時に重要です。
成功しているフリーランスは、
・契約前に不明点を丁寧に確認する
・案件開始時に“進め方・連絡頻度”を提案する
・トラブルが起きそうなときは早めに報告+代替案を出す
これにより、“リスク管理できるプロ”として信頼を積み上げることができます。
6. もしトラブルが起きたら?
まずは証拠(メール・チャット・契約書)を整理
フリーランス協会などの無料相談窓口に相談
未払いの場合、内容証明郵便→少額訴訟も視野に
特に案件規模が大きい場合は、弁護士保険やフリーランス協会の賠償責任保険に入っておくのも安心です。
まとめ:契約知識は“単価以上の価値”を守る
契約書なしの案件はNG。業務範囲・報酬・期間は必ず明記
請負契約/準委任契約の違いを理解する
報酬未払い防止には支払い条件の確認と前金交渉
NDA・情報漏洩には最新注意。AIツール利用は確認必須
トラブル回避のために“早めの確認と報連相”を
スキルや実績も大事ですが、契約とリスク管理を知ることは、自分の働き方と報酬を守ることでもあります。
「まだトラブルにあったことがないから大丈夫」と思っている方ほど、一度仕組みを見直す価値があります。