フリーランスとファームでの働き方の違い
Post Date: 2020-05-15
フリーランス(コンサルタント)のイメージとして「自由に働ける」「給与が高い」「各種手続きが大変」といったイメージを持っている方は多いと思います。こうした特徴をより正確に知り、フリーランスとファームでの働き方の違いを理解することで、どちらの働き方が自分に合っているかを正しく選択することができます。
ここではいくつかの項目に分けて両者の違いをご説明していきます。
働き方の違い
働く時間の違い
フリーランスで働く場合、どの時間に働くかは自身で決めることができます。これはアサイン先の企業と結ぶ業務委託契約(正確には請負契約や準委任契約)において、委託する側に指揮命令権が発生しないことが法律で定められているためです。つまり契約に定められた責務を果たしていれば、時間の使い方は自由ということになります。(なお、指揮命令、ではなく、クライアントと業務を進めるうえでの必要制約で場所や時間の目安について制限が生じることはありますので、その点はご理解下さい。)
ただ、正社員比較で、稼働状況で午前休を設けたり、数日休暇を作ったりすることも可能であり、子育てなども並行して行いやすいと言えます。また、例えば1年以上の長期のプロジェクトでしっかり稼ぎ、その後、数カ月の長期休暇を取ることなども可能です。
一方で、時間の管理を自身で行う必要があり、高いセルフマネジメント能力が求められます。自由に過ごせると言っても、契約に定められた責務をしっかりとこなしていることが前提だからです。その点ファーム在籍であれば、労働時間は管理されているため、真面目に働いていればフリーランスほど気にする必要はありません。ただしクライアントファーストで働くハードな仕事であることには注意が必要です。
働く場所の違い
フリーランスの場合、働く時間同様に場所も比較的自由に選ぶことできます。(上記に触れられている通り、業務内容によって完全にその限りではないことを理解ください。)特に、毎日の出勤退勤時間を削減できるというのはフリーランスの大きなメリットと言えます。なお集中や通信環境の観点より、自宅ではなく安価なコワーキングスペース等を借りる方もいらっしゃいます。
一方ファームで働く場合、確かにオフィスで働く時間は長くなるものの、ファーム内の人たちとコミュニケーションが取れることが大きなメリットと言えます。優秀な人材やキャリアの先輩などから有益な情報を得る機会も多くなります。
案件の違い
ファーム在籍の場合、パートナーが営業を行い獲得した案件に合わせてチームを組みます。そのため、コンサルタントやアナリストは自身が完全に希望する案件に携わることができるとは限りません。また、チームメンバーの職位や得意分野に応じて役割が固まってきます。
一方でフリーランスであれば、自分次第で自身が望む案件を選ぶことができます。得意な領域で高収入が得られる案件をチョイスするのも手ですし、多少収入が減っても新しい領域に挑戦することもできます。もちろん、市場のニーズと自身のスキルのマッチングのため、新たな領域に挑戦するためには自身のスキルアップは当然ながら必要です。ファームのチーム制と異なり個の能力で戦うことになり、求められる業務内容や必要な成果物に応じて、苦手な分野でも自身で取組む必要があり、幅広い能力、責任感は必要となります。
フリーランスの案件獲得の方法については以下の弊社記事をご覧ください。
責任の違い
フリーランスの契約は、企業-個人間で結ばれます。そのため当然ながら個人として責任を負う必要がありますし、万が一企業側から契約不履行とみなされ賠償請求された場合には、多大な負担がかかる場合があります。不履行とならないよう成果物を出すことは当然ながら、不要なリスクを負うことは無いよう、フリーランサーは契約書にしっかりと目を通し、自身の不利にならないような契約を結ぶ必要があります。必要に応じて弁護士のレビューも活用した方が良いでしょう。
なお、当然ながらファーム在籍であれば契約は企業間で行われますし、基本的に一個人が責任を全て負うということはありません。(勿論、だからと言って個人の成果に責任感を持たなくてよい、という話ではありませんし、ファームで働かれる方々のプロ意識は高いですが、あくまで契約面での話です。)
収入の違い
フリーコンサルの給与は一般的にファーム在籍者よりも高いと言われています。なぜならフリーランスの場合、ファームに留保する分のお金も自分の所得として入ってくるためです。働き方にもよりますが、年収がファーム在籍時の2倍以上に増えるケースもあります。
一方でフリーコンサルには大きなリスクもあります。収入を得続けるためには案件を取り続けないといけません。なぜなら、当然ですが案件がなくなればそのまま収入がゼロになってしまうからです。そのためフリーランスで働くには、プロジェクトにアサインしつつも営業を並行して行うといった高い能力が求められます。
さらには、不景気時に真っ先に削減対象とされるのはフリーランスの人材であるため、収入は安定しにくいと言えます。いくら懸命に働いても景気の変動を大きく受けてしまうリスクは常にあります。そのため先を見通した資金運用が求められます。
フリーランスの収入について、より詳細は以下の弊社記事をご覧ください。
(補足)税金手続きに関する違い
ファームに所属していれば年末調整または確定申告に関する手続きは書類を数枚提出するのみで済みます。一方フリーランサーであれば、全ての手続きを自身で行うか外注するかのどちらかとなります。手続きに不備があれば必要以上に税金を取られる危険もあるため、よく勉強して正しく行う必要があります。フリーランスで働くにあたって税金手続きは大きな負担の1つであるため、考慮に入れておくことが重要です。
詳しくは以下の弊社記事をご参考ください。
保障の違い
前章でも記載のように、ファーム在籍のコンサルタントであれば、不景気時などでもリストラされない限りは収入が急になくなることはありません。またファームによっては様々な保障制度や福利厚生もあるため、ある程度安定した生活が担保されているといえます。(とはいえ明らかに稼働が落ちる場合には営業活動に必要な書類作成に時間を使うことになったり、昇進の基準が上がる(つまりoutになる可能性が上がる)ことはありますので、安泰とは言えませんが、フリーランス比較ではまだ安定している、という意味合いです。)
また人材育成に力を入れて、研修制度を充実させているファームは多くあります。ある程度収入を得つつスキルを身につけたいという場合、フリーランスよりもファームが良いと言えるかもしれません。
まとめ
ご自身の目的や能力とよく照らし合わせたうえで、ファーム在籍のコンサルタントになる(を続ける)かフリーランスのコンサルタントの道を選ぶかを考えることが重要です。リスクは多くとも自由な働き方や高収入を目指す方であればフリーランスを志向されるのがよいですし、着実なスキルアップや保障の充実した環境を重視する方であればファームコンサルタントを志向されるのが良いと言えます。もちろん、どちらかを選ぶというより、フリーコンサルを選択したり、ファームに戻ったりといった働きかたも有りますので、その時の状況にも左右されるかもしれませんし、ファーム自体もより自由な働き方(リモート、副業可、等)になっているため、その点も確認すべきでしょう。
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